単語埋め込みによる柔軟な日本語文書の感情分析

先日、Latent Semantic Scaling: A Semisupervised Text Analysis Technique for New Domains and Languagesと題する僕の論文がCommunication Methods and Measuresに掲載されました。当論文では、単語埋め込み(word embedding)を用いることで、すぐに利用できるキーワード辞書などが少ない日本語においても、英語と同様に量的テキスト分析を行えることを示しました。

当論文では、LSSという手法を用いて、新聞の記事から政治に関する語を抽出し、それらを感情に関する種語との距離によって重みづけしています。肯定的な語は「絶好、美麗、秀逸、卓越、優雅、絶賛、善良」は、否定的な語「粗悪、醜悪、稚拙、非礼、貧相、酷評、悪徳」となっています。重みづけの結果は、図にあるように、「絶好、人類、民主化、安定、立国」などが肯定的な語、「私利私欲、暴力団、脱税事件、不透明、流用」などが否定的な語となり、直感的に納得できる結果になっています。これら感情によっての重みづけされた語を用いて、文書を重みづけると適当な感情辞書が無くても、政治的な感情分析ができます。

LSSを使うと、重みづけされる語を変えることで、政治以外のさまざまな主題における感情分析を行えます。さらに、種語を変えることで脅威認識や精神状態などのより特定化された尺度における分析を行うことできます。この論文での日本語文書の処理と分析は、quantedaLSXというRパッケージだけを使っていて簡単なので、ぜひとも試してみてください。分析を再現するRスクリプトは、Harvard Dataverseからダウンロードできます。

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